建物内部に結露が生じると、建材を腐らせたり、カビが繁殖する?


その通りです。建物内部とは目に見えない部分、天井裏・床下・壁の奥などです。

窓ガラスの結露は、うっとうしいですが建物が腐ることを思えば、まだマシです。

 

建物内部で結露すると致命傷です。木材が腐るからです。


今日は、木造の建物に絞ってお話ししたいと思います。

まず、見えない部分はどんな構造になっているか、壁を例にご説明いたします。

壁は二種類あります。外壁と間仕切り壁です。

外壁」とは、建物の外周の壁です。「間仕切り壁」とは、部屋とお部屋を仕切る壁です。

 

問題は、外壁で発生します。

右の大きな赤い丸の中の図は、壁の一部を拡大した図です。

 

室内から見ると、表面がビニルクロス、

グレーの板がプラスターボード、

その奥のブルーが防湿気密シートです。

(もし防湿気密シートがなければ最悪です)

防湿気密シートは、室内の湿気を壁の奥へ進入させないようガードします。

でも、完ぺきとは言えないので、少しは湿気が木材にも達します。

木材まで到達した湿気を屋外へ逃がすように、「透湿防水シート」を柱の外側に張り巡らせます。

透湿防水シートとは読んで字のごとく、「湿気は透すが水は防ぐ」つまり、木材が湿っていたら湿気を屋外へ逃がすけど、雨で木材が濡れないように守ります、というシートです。

その外側に通気層といって湿気が通る道を作って、その外側にやっと外壁材(サイディング:防火とデザインの役目をする板状のもの)を張ります。

上の図で注目してほしいのは、間柱と縦胴縁が断熱されていないという点です。同様に柱や梁も断熱されていません。

 

断熱されていない木材の外壁側の表面温度は真冬なら東京でも4℃くらいまで下がります。

左の図によると、13℃を下回ると結露しますから、木材の外半分は結露します。

 ちなみに結露とは空気に含まれた水蒸気が冷えて水になることです。

木材の外側には「透湿防水シート」が張り巡らされています。

ということは、水は外へ出ていけず、木材はだんだん湿ってきます

そんな状態が長く続くと、ついに木材腐朽菌が活性化して大事な木材を腐らせてしまいます。

 

そうならないためには、左図のように木材(柱や梁)を外側から断熱材で包み込まないといけません。

 

そうすれば壁の中で結露しないので、木材が腐ることはありません。

これを 外貼り断熱工法といいます。

 

柱など木材を守れるという点では、外貼り断熱工法は画期的です。

 

でも、外貼り断熱だけだと、厚みが制限されるので、右の図のようにするのがベストです。

それを 外貼り断熱+充填断熱 といいます

ひとつ怖い話をさせてください。

家が古くてどうしようもないほど寒く、しかも窓の結露がひどいお家がありました。

窓をペアガラスにしたら温かくなると聞いたので、思い切ってペアガラスに取り替えました。

なるほど、窓からの冷えは改善しましたし、なにより「窓の結露がなくなった!」と喜びました。

石油ストーブをガンガン炊いても、窓には結露しません。

 

その分の水蒸気はどこへ行った?


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