東京気候の上手な扱い方

これは東京都の年間の気候を見える化したグラフです。

その年によって暑くなる時期や寒くなる時期は違うように思いますが、ここ10年ほどを見てみると季節の変わり目パターンはみごとに一致します。

 



 

「三寒四温と申しますが・・・」 これは三月の時候の挨拶です。

なるほどその通りで、三日間ぐらい寒い日が続き次の四日間ぐらいが暖かく、これがくりかえされ4月上旬まで続きます。

ですから4月上旬までは躯体暖房 (建物内のコンクリートそのものを暖めて放射熱によってジワ~っと体を暖める) をおこなう必要があります。〔気になる燃費〕

 

 

この時期で大切なことは、加湿です。

私たちの体験から言いますと乾燥空気1kgに含まれる水分は、9gは絶対に必要です。

これを9g/kgDAと呼びます。 (DAはドライエア)

 

ところが残念なことに、加湿器つかっても湿度はほとんど上がりません。 〔気密+全熱交換〕

 

その間も確実に全天日射量は増え続け、暖かさの貯蓄がされていきます。

そして4月上旬を迎えると爆発的に気温が上がっていきます。 これが5月上旬まで続きます。

 

4月下旬から6月上旬にかけて、気温はどんどん上がっていきますが風通しがしっかりできれば心地よくすごせます。

なぜなら空気中に含まれる水分の量がそれほど多くないからです。

ただし、東日や西日を上手にカットしてやらないと家中がメチャクチャ暑くなります。

なぜなら一年中でもっとも日差しが強く、雲が少ない時期だからです。

 

 

6月中旬にもなるとお昼間の温度は27℃ラインに達し、風通しだけでは涼しくできません。かといってエアコンで冷房すると温度が下がりすぎてヘンに体が冷えてしまいます。そんなとき活躍するのが「夜間冷却」です。

 

この時期の夜中の温度はかなり低く、20℃程度です。20℃とはちゃんとした布団を着て寝ないと行けない温度です。 夜中の涼しい空気を採り入れましょう。〔夜間冷却〕

 

7月上旬から8月下旬は気温も湿度も高く「蒸し暑い日本の夏」ですから、エアコンで冷房するほかありません。コツは〔冷えすぎない冷房〕〔寝冷えしない冷房〕をご覧ください。

 

9月上旬になると再び「夜間冷却」が活躍します。

9月下旬から11月上旬は、何もしなくても心地よい季節ですね。

 

 

11月上旬からは気温と空気中の水分がどんどん下がっていきます。口から勢い良く空気を吸い込んでみると口の中が乾くくらいです。

再び、躯体を暖める(放射暖房)+加湿(気密+全熱交換)が必要な時期がやってきたわけです。

秋から冬の特徴は日射量が年中でいちばん少ないことです。この時期に日射を上手に取り入れる設計をしておきましょう。

 

とまあ、一年間の東京都の気候はこんな具合であり、その賢い対処法を述べてみたわけですが、これを実行できるのは「温熱環境を熟慮して設計したかなり優れた家」ということになります。

「かなり優れた家」であっても操作が難しいと使い物になりませんね。

自動運転できるシステムが必要です。で、ないと、よけいに疲れそうです。

 

 

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