快感は意外なところに

エピローグ


「僕のこと嫌いか?」と彼女に聞いたら「嫌いじゃない」とはぐらかされた・・・

「嫌いじゃない」と「好き」の間には何万光年もの距離がある。

 

Mac建築デザイン研究所の家づくり目的は「過ごしやすい家づくり」ではなく「快感を得られる家づくり」なので、「快感」というものに迫ってみたいと思います。

 

 



チャーハンより白飯とおかず


4月のある日公園を散歩しました。

気温はまだまだ低いです4月の太陽はかなり力強いです。

木陰にいるとは少し肌寒いくらいですが、ずっと日向にいると汗ばんできます。

そしてときどきそよ風が吹く、とても心地よい季節です。

 

 

気がつけば私は木陰と日向のあいだを行ったり来たり、楽しみながら歩いていました。

木陰から仰ぐまばゆい青空は気持ちを高揚させます。

この状態を温熱の観点から説明するとこうなります。

 

❑ 対流による放熱 : 低めの気温

❑ 放射による放熱 : 木陰の土や樹木、葉っぱの表面温度が低い

❑ 日射による加熱 : 太陽からの赤外線

❑ 気流による冷却 : そよ風

 

温めたり冷やしたり、全くややこしい状態です。

ところが、「それが気持ち良いのだ!」

 

では逆に、6月のある曇天の日はどうでしょう。

 

❑ 対流は中立   : 程よい気温

❑ 放射も中立   : 程よい周壁温度

❑ 日射加熱なし  : 曇天で直達日射はわずか

❑ 気流冷却なし  : 風がない

 

 

暑くも寒くもなく、とてもバランスのとれた環境であり、PMVでは満点となります。

が、はたしてそれを心地よく感じるでしょうか? 

 

環境工学で有名な指標〔PMV〕や〔PPD〕は「不満を感じない」という判定なのです。

だから私は声を大にして言いたい!

「気持ち良いこと」と「不満を感じないこと」はまったく違うことなんです!

 

私流に解説させてもらうと次のようになります。

 

 

4月のある日の状態は、ご飯とおかずを食べている状態だといえます。

その日の体調や気分によって自在にブレンドしながら食べられます。

食べ始めと終盤ではブレンドのしかたが違ってきます。

 

 

それに対して6月のある日はチャーハンです。

全てを混ぜあわせた均一な味をずっと口に運び続ける状態です。

一口目で美味しいと感じる調理であれば、終盤にはクドイ味付けと感じるわけです。

また、最初から最期まで同じ味ではその単調さに飽きてきます。

 

涼しく落ち着いた場所で、明るく活発な景色を楽しむ


 

木陰から臨むまばゆいビーチは最高です。

木陰でそよ風に吹かれながら好きな小説を読む・・・「至福のひととき」とはこのことですね。

トロピカルドリンクがあるとなお宜しい!

 

 

ところが、同じビーチでも曇りの日はなんの値打ちもないわけです。

眩しくないしサングラスもいらない。暑くも寒くもないのになぜかとても不満です。

 

では逆にメチャクチャに晴れて、木陰がなかったらどうでしょう。

桟橋の向こうにある小屋にたどり着くまでに日干しになってしましそうです。

 

 

つまり人間は、安全圏にいながら超明るく暑すぎるビーチを眺めていたいわけですね。

しかも、水辺は必須。いつでも飛び込めるという安心感が必要なんですね。

人間はホント、わがままなんだからっ!

 

これって、ホラー映画やバンジージャンプと似ていませんか?

安全を確保された状態で危険を楽しむ・・・

 

この状況を家の中に作れないかと思っていたら、すでに実現している施設があったのでご紹介しましょう。

 

 

木漏れ日の芝生で子供たちが遊んでいるように見えますが、実はこれ、ビルの中です。

全体を均一に明るくせずに、木漏れ日スポットで陰影をつけているのです。

まあ、自然にはかないませんがなかなか幸せな空間に仕上がっておりました。

 

 

これは住宅にも応用できます。

 

吹き抜け部分の高いところに自然光の採り入れと風通し用の窓を設けて、さらに木漏れ日スポットも準備しておけば、梅雨のうっとうしい季節でも少しは明るい気分にすることができるでしょう。

さらに少し工夫して、植物育成用LEDも取付ければ、室内でもけっこう育ちます。

栄養分を混入した自動潅水すれば手間いらずです。

 

今後の家造りには、こういった工夫が大切になると思います。