Hawaiiの心地よさとエクセルギー
ハワイの高級ホテルには、自然の心地よさを旨く取り入れるように工夫されたオープンエア空間があります。
ロイヤル・ハワイアンのピロティはその代表といえるでしょう。
ガラスで囲ってエアコンで冷房するほうが簡単なのに、たいへんむずかしいことにチャレンジしています。
なぜ、あえて挑戦するのでしょう・・・
それは、 「ほどよくチューニングされたオープンエアは、冷房された室内よりはるかに気持ちが良い」 からです。
そのことを、エクセルギー理論が説明してくれます。
エアコン冷房時の人体エクセルギー消費量
☆ 屋外空気 : 33℃ 相対湿度60%
☆ 室内空気 : 26℃ 相対湿度50%
エアコンで冷房:空気を冷やす(出典:宿谷昌則教授のエクセルギーと環境の理論)
縦軸は周壁平均温度(床・壁・天井の平均温度)、横軸は気流速を示しています。
エアコンを26℃設定すると空気は26℃になりますが、周壁温度はそうはならず30℃程度であることが多いのです。
なぜなら屋根や外壁が太陽からの赤外線に焼かれて熱くなっていて、その熱が部屋内に攻めてくるからです。
そうすると、人体エクセルギー消費は2.6~2.7W/㎡となります。
ロイヤル・ハワイアンのピロティにおける人体エクセルギー消費量
☆ 屋外空気 : 30℃ 相対湿度60%
☆ ピロティ : 周壁温度27~28℃
前日の夜間、気温が低いうちに外気を充分取り入れて床・壁・天井に冷エクセルギーが溜まっている、
すなわちロイヤル・ハワイアンのピロティの状態を示しています。
この状態をグラフで見ると、気流速0.1mで周壁温度が27~28℃のとき人体エクセルギー消費は2.05W/㎡です。
冷放射パネルor夜間冷エクセルギーの貯蓄(出典:宿谷昌則教授のエクセルギーと環境の理論)
これを先ほどの「エアコン冷房の場合:2.65W/㎡」と比べると人体エクセルギー消費量は約25%少なくて済みます。
これは体が「楽」をしていることを示しています。
体が「楽」をするとcomfortableになります。
2.05W/㎡も2.65W/㎡ も、とても小さな数字なので 「本当かな~?」 という感じですが、人間はとても繊細でひ弱な生き物ですから、
この差が効いててくるのです。
テルモ体温研究所によると 「人間はエネルギーの75%以上を体温維持に使っているといっても過言ではない」 とのことです。
体温維持がそれほど大変なことであれば、それを僅かでも助けてあげることは重要なことといえますね。
まとめ
「夜の涼しさをコンクリートに取り込んでお昼間につかう」という、自然を活かしたアイデアです。
でもこれはハワイだからできることで、ハワイより気温が高く、湿度も高い日本でオープンエア空間を作っても旨くいきません。
日本では、夜中も温度が下がらない熱帯夜が22日間くらいあり、東京などヒートアイランド現象が起きている地域では40日位上もあるからです。
それを聞くと、「あ~ もうダメ」 と思ってしまいそうですが、気象台発表とそれぞれの敷地における実測ではかなりの差があるので、まだ諦めるのは早いです。
「京都盆地の蒸し暑さは最悪!」 というのが定評ですが、実際に私が測定し体感してみると、けっこう涼しい夜中がひょっこり出現します。
これを旨く取り入れない手はないですね。
温度センサーを25℃にセットして、それ以下になったら外気を取り入れる仕組みを作れば良いのです。
ただし、外気の採り入れ場所の選択が大事になってきます。
道路際など日射が当たる場所はお昼間に蓄熱していて、夜中まで暑いのでダメです。
お隣の家とのスキマで、日が当たらないところ、ありますよね。
スキマの土に水を点滴して、気化熱にも手伝ってもらうと、その部分の気温が25℃以下になる夜はけっこう出現します。
本当に暑い日は窓を閉めきってエアコンで冷房するしかありませんが、ちょっとした工夫でエアコンなしで寝られる夜をつくるチャンスは
けっこうあるものですよ。
しかし、これには大前提があります
1.屋根の完璧な遮熱 : 太陽からの赤外線をカットする
2.外壁の完璧な遮熱 : 同上
3.完璧な気密 : 高温多湿な外気から水蒸気が侵入するのを防ぐ
4.窓における遮熱 : 庇、外付けブラインド、超高性能遮熱ガラスを効果的に使い分ける
5.屋根・外壁・基礎の断熱 : 熱は遮熱だけでは防げない(波長に応じた防御が必要)
つまり、家の温熱環境スペックをHeat20G2クラスまで上げることによって、初めて効果が出るのです。
ちなみにHeat20G2とは、断熱力ではパリやロンドンで40年ほど前からフツーに行われているレベルであり、大したことはありません。
これに、夏対策として遮熱力を加えるだけです。
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