入居者が離れないマンションの特徴は


入居者が離れないマンションの特徴をご説明するためには、まず、入居者が退去する理由を知っていただく必要があります。

 

この円グラフと記事は、GMO賃貸DX WEBメディアさんが実施された【アンケート調査】賃貸オーナー必見!入居者が退去する理由5選(実際の声も紹介します)からお借りしたものです。

文面中の青文字は、Mac 安田の深読みです。

 

第1位「条件の良い物件を見つけたから」

これは本質ではなく当たりさわりのない回答と思われます。

なぜなら「条件の良い物件を見つけたから」といって、《礼金+敷金+引越費用+労力》を投じて引越しするメリットのある物件があるとは思えないからです。

引越しを決意するには、それ相当な動機が必要です。それは、かなり困った状態に陥ってそこから解放されたい状況、と考えるのが自然ではないでしょうか。

第2位:他の入居者・オーナー・管理会社とのトラブル

集合住宅に住んでいる以上、ある程度のトラブルは仕方ありません。

アンケート回答者もその点については理解しているようですが、クレームを入れてもトラブルが解消されなかった場合は、高確率かつ短期間で退去につながるようです。

これはあくまでMac 安田の深読みですが、他の入居者とのトラブルには騒音や足音が含まれていると思います。なぜなら、クレームを入れても解消されないのが、騒音・足音問題だからです。

第4位:騒音問題

他の住人の生活音や、周辺の騒音など、思っていた以上にうるさいと感じる方が退去してしまうのは納得できますが、「家賃の安さからある程度は覚悟していた」と回答した方も最終的には退去されている事から、音に関する問題は退去につながりやすい問題といえます。

そのとおりです。騒音や足音に関してはだんだん慣れてくるということはなく、神経が過敏になってちょっとした騒音や足音でも気になるようになって、敵意、時には殺意にもつながるからです。

 

あなたをこわがらせるつもりはありませんが、日本騒音調査ソーチョーさんのサイトには、すごい事件簿が紹介されています。

身の安全を守るためには、正義を主張するよりも、退散するほうが賢い気がしてきました。

 

恐ろしい事件のことはひとまず脇において、第3位「設備に不満があった」の内容は下記のとおりです。

 

神奈川県 女性 40歳

家賃は安かったけれど、都市ガスではなくLPガスだったのでガス代がとても高くついてしまったのと、建物が古かったので隣の騒音なども良く聞こえたのでそれがストレスになって暮らしていくのが嫌になってしまったから。

 

大阪府 女性 42歳

以前借りた物件はコンロがガスではなく電気コンロで、なかなかフライパンが温まらずに煮物とかも時間がかかったので、ガスコンロを置ける所に引っ越しました。あと安い物件だったけど、冬場は結露が酷くて2年契約の前に引っ越す羽目になりました。

 

LPガスや電気コンロとは厳しいですね。

神奈川県の女性は、設備の不満とともに、隣の騒音問題に耐えられなかったと報告なさっています。

1年以内に退去される理由は?


こちらは、不動産☆連合体さんが実施された「賃貸退去理由ランキング」からお借りしました。

青文字はMac 安田による解説です。ピンク色の文面は、不動産☆連合体さんが提案なさっている【騒音トラブルの対策】ですが、のちほど考察したいと思います。

 

1年以内の短期退去が続く物件には、管理会社から“見えにくいトラブル”が潜んでいる可能性があります。なかでも、よくある原因として挙げられるのが、以下の3大トラブルです。

 

退去理由1: 騒音トラブル

トラブルによる退去で目立つ理由のひとつが「騒音」です。たとえば、複数の入居者が短期間に退去するようなケースでは、まず騒音を疑うべきでしょう。騒音トラブルは、対応が遅れると深刻化しやすいため、早めの対応が求められます。

・隣室からの音(テレビ・話し声など) 
・生活音(洗濯機・掃除機など)
・上下階からの音(足音・家具の移動音など)
 ・外部騒音:工事現場・商業施設・交通量の多い道路・鉄道など

【騒音トラブルの対策】

完全な解決が難しい場合でも、「管理会社やオーナーが誠意を持って対応してくれている」と入居者に感じてもらうことが大切です。以下のような対応が効果的です。

 

【入居者への配慮】

・同じ物件内で別の部屋(上下階や角部屋など)の移動を提案

・今の状況や今後の改善策について丁寧に説明

 

【騒音ルールの明文化】

・賃貸借契約書や掲示物にて「騒音に関するルール」を明示

・苦情が出た際には、適切な文面で注意喚起を行う

退去理由2:近隣トラブル

近隣トラブルは、周囲との人間関係でストレスを感じて退去してしまうケースです。

具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

・隣人とのコミュニケーション問題
・ゴミ捨て場のマナー違反
・共用部分の使用に関する問題
 ・プライバシー侵害の問題

近隣トラブルが疑われる場合は、「防犯カメラを設置する」や「巡回の頻度を増やす」などの対策が有効です。

退去理由3: 物件/設備トラブル

建物の質や設備の老朽具合が使用に耐えないレベルであったり、故障していることを申し出てもなかなか修理してくれなかったりすると、業を煮やして退去を考えるに至るのです。

対策としては、入居者の不満が「退去という行動」になってしまう前に、管理会社やオーナーが主体的に動くことが重要です。

退去理由と改善策チェック


今一度、GMO賃貸DX WEBメディアさんが実施された【アンケート調査】賃貸オーナー必見!入居者が退去する理由5選をくわしく見ていきましょう。

以下、青文字はMac 安田による解説です。

〇印は改善可能なので入居者さんが痺れを切らす前に改善すべきです。

視角□は元々わかっていたこと&借主の都合、ですからどうしようもありません。

問題は☆印★印です。退去原因の2位と4位ですから放っておくわけにいきません。

ところが難儀なことに、これらは管理者さんや大家さんがいくら頑張っても根本的に解決しないのです。

大家さんや管理会社が解決できないのが、騒音問題


ピンク色の文面は、不動産☆連合体さんが提案なさっている【騒音トラブルの対策】で、青文字はMac 安田の意見です。

 

【騒音トラブルの対策】

完全な解決が難しい場合でも、「管理会社やオーナーが誠意を持って対応してくれている」と入居者に感じてもらうことが大切です。以下のような対応が効果的です。

入居者への配慮】

・同じ物件内で別の部屋(上下階や角部屋など)の移動を提案

・今の状況や今後の改善策について丁寧に説明

【騒音ルールの明文化】

・賃貸借契約書や掲示物にて「騒音に関するルール」を明示

・苦情が出た際には、適切な文面で注意喚起を行う

確かに、「管理会社やオーナーが誠意を持って対応してくれている」と入居者に感じてもらうことが大切だと思います。

たいていのストレスは軽減されるでしょう。

ところが、こと騒音と足音になると解決は望めません。

 

まず【入居者への配慮】ですが、そのマンションに防音・足音対策がなされていない場合は、手間をかけて別の部屋へ移動してもらっても、いずれ退去なさることになると思います

それに、移動元の部屋に新たな入居者が住まれたとき、また同じ問題が起こります。

 

では、既存のマンションに防音・足音対策はできないのでしょうか? 

残念ですができません。

どうしてもやりたいと思う大家さんのために、無理を承知で解説します。

まず、建物の外壁と骨組みを残してすべての間仕切り、設備を取り払って丸裸にします。

そのうえで新たにマトリョーシカ構造を組み立てるという方法しかありません。

マトリョーシカ構造は重量が大きいので、元の骨組みが耐えかねて地震に弱くなってしまいます。

これでは防音のために命を削ることになり、本末転倒です。

 

次に【騒音ルールの明文化】ですが、防音・足音対策がなされたマンションならルールを明文化して、入居者にしっかり守ってもらえば良いと思います。

でも、防音・足音対策がなされていないマンションで明文化するとしたら、「忍者のようにすり足、差し足で歩きなさい。

スパイに盗聴されないようヒソヒソト話すこと。

マンションは共同住宅なのだから何があっても我慢しなさい」というようなことになってしまいます。

もしこれを「入居者心得」として賃貸契約に掲載したら、だれも入居する人はいなくなるでしょう。

今後のマンションはどう作るべきか


下記はいろいろな楽器や騒音の大きさを示した表です。

音楽マンションは別のブログで解説しますが、本ブログではふつうの人がふつうの生活をふつうにできるレベルについて感がてみたいと思います。

ふつうの生活で、大人がコントロールできないのが赤ちゃんの泣き声です。(コントロールしてはダメです)

赤ちゃんの泣き声は80dbくらいですが、お隣の家に聞こえないようにするには、30dbまで下げないといけません。

そのためには界壁(家と家の間の壁)の防音性能は50db必要です。(80-30=50)

 

上記を実現したうえで【騒音ルールの明文化】を行えば良いのです。

たとえば、「楽器はダメ。大声を張り上げてはダメ。小学生以上の人が室内で走ってはダメ」

この程度の制約なら、ふつうに生活できるはずです。

ところが、このレベルのマンションさえ2025年現在、皆無といって過言ではありません。

なぜなら、界壁(家と家の間の壁)の防音性能を50db確保するのは大変難しいです。

音や振動の伝わり方について熟知していない人がチャレンジしたら、まず失敗するでしょう。

「建ててから後悔しないために、設計士が伝えたい防音の真実」の後半に記載しておきましたので興味のある方はご覧ください。