
「だれにも拘束されず、真剣勝負して一流のプロになる!」
なんとも頼もしい生き方ですが、残念ながら志だけでは達成されません。戦うには鎧と城が必要です。
ベストセラー「ひとは見かけが9割」
くやしいですが、これは事実です。
あなたの発想や技術が一流でも、パッケージが三流ならギャラも三流になってしまいます。
あなたの技術を高効率で換金するためには、一流の事務所やお洒落な店舗が必要なのです。
でも一部の資産家をのぞいては、都心に一流の社屋を建てることなどできません。
では、どうするのだ? 威勢の良い雄叫びはこのままむなしく消えるのか・・・と悩んでいたとき熱血建築主と出会ったのです。正確には30年前に10階建てのワンルームマンション(CGの左の黄色っぽいビル)を設計させて頂いた建築主の息子さんとの再会。
彼は理容師でもありますが、人と人をつなぎ、お互いを成長させるプロデューサーでもあります。
そんな彼が私に熱く語ったのは、「若い人にチャンスを与えたい。彼らの技に一流のギャラがつくビルをつくりたい!」ということでした。
彼は私と再開する前、銀行に紹介された建築会社の営業マンにこのことを熱く語りましたが、ポカンとした顔をされただけ。
ある営業マンは設計士をつれてきて「期待してください!」といいましたが、1か月後に提案されたのは旧態依然の賃貸マンションでした。建築主はガッカリするより、あきれたそうです。
「京都のメインストリート四条通に、いまさら賃貸マンションとは、芸がない」
そのあと私との出会いがあり、15分ほどで話が通じて設計契約となりました。
《2ウェイアプローチ》

京都のメインストリート四条通から見るビルの顔はこんなふうです。天井が高くひろびろとしたカフェ(予定)に圧倒されます。エントランスはカフェの右側です。自動ドアが開いて中に入ると、エントランスとカフェは一体の空間になっています。

エントランスを奥に進むとエレベーターがあります。
メールボックスや宅配ボックスはありません。生活感のあるものはすべて排除しました。ちょうど、ホテルのカフェテリアの脇にエレベーターがある、そんな感じです。
エレベーターの脇にはスマートキーがついていて、スマホやカードをかざすとエレベーターが開きます。
ここから入場する方は、少し身だしなみに気を使ってほしいです。(あくまで設計者の願いですが)
入居者が自転車でスーパーへ行ったときは、サブエントランスから入ってください。
駐輪場とメールボックスと宅配ボックスがあります。ワンちゃんをお連れの方もサブエントランスからお願いします。
ゴミ出しの時も、サブエントランスからお願いします。
2ウェイアプローチは、東京都のMusik北参道や、前橋市のクロスコート広瀬川でも採用しました。
「ゴミ袋をさげてエントランスを行き来するのはどうか?」との思いからスタートしましたが、やはり表玄関とバックヤードの切り替えの必要性を強く感じました。
ちなみにカフェへの食材の納品もサブエントランスから行いますので、お客様に不快な思いをさせることがありません。
《50㎡の中に、4つのシチュエーション》
これはType-Aの間取図です。全体で約50㎡ですが、そのなかに4つのシチュエーションを配置しました。
いくら広い部屋であっても、人間は24時間ずっと同じ部屋にいることに耐えられません。気分転換が必要なのです。

それは奇しくも私が2021年に諸事情で4か月間ホテル暮らしをしたことで実証されました。
ガラス張りの大型シャワーと洗面、キングサイズのベッドとこじんまりしたソファ、そしてパソコンデスクとミニ冷蔵庫が揃って、なかなかお洒落で使いやすい部屋でした。
私は仕事用のパソコン3台とバルミューダのスピーカーを持ち込んで4か月間、仕事に励みました。
そんな生活で気が狂わなかったのは、私が使える施設が館内に3つもあったからです。朝はひろびろとしたカフェレストランで朝食バイキング。
1時間ほどかけてゆっくりコーヒーを飲みながら新聞に目を通します。それからお部屋にもどって一仕事。
お昼は近くのロイヤルホストに散歩をかねて出かけます。そのあと館内のジムで汗を流します。シャワーでさっぱりして再び仕事。夜は館内の大浴場でサウナとジェットバスでゆったりした時間を過ごしました。


この体験をもとに私は、50㎡の中に4つのシチュエーションを仕込みむことにしました。
一般のマンションとの違いを最初に感じるのがエレベーターホールです。ごらんのとおり、どうみてもマンションの玄関ドアではありません。店舗か事務所のドア入り口にみえますね。(左の写真)
もちろん、セキュリティのためにダブルロックと防犯ガラスを採用しています。
店舗の中が見えるように透明ガラスにしていますが、法律事務所など中が見えないほうが良い場合は、適度なフィルムを貼ることができます。(右の写真)

まずはCreatonRoom から説明させてください。
広さは12帖ほどですが、動画に示すように美容室や法質事務所などに最適な縦横比にしてあります。
CreatonRoomは土足で使用します。お客様にトイレを使っていただける配置にしました。
トイレ内には専用の手洗器もあります。

トイレ前のグリーンのところが靴脱ぎ場です。
ちなみに、キッチンの位置には秘密があります。
キッチンにはもちろん給水・給湯・排水管があるわけですが、CreatonRoom側の壁に点検口がついていて、そこから美容室のシャワーへ供給することができます。
RelaxationRoomへの入り口の位置にも一工夫あります。
何かの拍子に扉を開けたとき、生活臭のあるものが、CreatonRoomから視野に入らない配置にしました。

何かの拍子に扉を開けたとき、生活臭のあるものが、CreatonRoomから視野に入らない配置にしました。
RelaxationRoomからFreshAirCornerへの開口は大きく、
一続きに感じるように設計しました。

RelaxationRoomとChargingRoomはスライドドアで仕切り、お昼間は開けて空間を共有できます。
開放すると、それぞれの部屋は小さくても広がりを感じます。
夜はスライドドアを閉めておちついて眠れます。

ChargingRoomは、あえて腰窓にすることによって、ベッドの収まりを良くしました。

季節が良いときはFreshAirCornerで、キャンプ用のマグカップを使ってコーヒーを飲むのも良いものです。

そして特筆すべきことが2つあります。
ひとつは、ジェットバスを搭載していることです。
仕事に疲れたときはジェットバスにハワイの入浴剤をいれるとリフレッシュすること請け合いです。

そしてもうひとつは、幹太君(ガス式衣類乾燥機)がついていることです。電気式の衣類乾燥機や浴室衣類乾燥機では数時間かかる衣類乾燥がわずか45分で済みます。
これもストレス解消につながります。
《さらに2つのシチュエーションをプラス》

1階のカフェ。
有料ではありますが、ビジネスの打合せや息抜きに最適です。

ルーフトップ(屋上)にあるドッグラン。
ドッグランは確定ですが、設計者としてはBBQテラスも欲しいと思っております。(写真はイメージ:弊社の屋上)
《Type-B》
《概ねのレンタル料》
家 賃:月額 ¥180.000.-
共益費:月額 ¥ 18.000.-
《ビル名・アクセスなど》

《ビル名》 Tree-Tree (苗がすくすく育って木になり、助けあって林になってほしい、という思いを込めて)
《住 所》 京都市中京区壬生森町56-5
《アクセス》 阪急西院駅まで徒歩5分

《企画の背景:人件費の1/2は拘束料》
もしあなたが経営者で、社員に給料を30万円はらっていたら、15万円は拘束料であり、のこり15万円が生産料です。
生産効率=50%、これでは黒字になるわけがありません。でも、社員からすれば月曜日~金曜日、9時~17時まで自由を奪われるわけですから、15万円の拘束料なんて安すぎます。一度きりの人生、かけがえのない時間ですから。
一方メディアでは「人手不足、人手不足」と騒いでいますが、ほんとうに人手不足なのでしょうか?
私は、拘束することにこだわりすぎて生産性が低いことこそが問題だと思うのですが・・・
「大人が本気で住める単身者用マンション」の設計が完成したころ(2020年3月)、新型コロナウイルス感染症が大流行しました。建築主は、大手生命保険会社に勤める38才の有能な女性、役職は課長代理です。
彼女の住まいは京都市の中心部であり、勤務地は大阪市のビジネス街にあります。通勤時間は1時間半かかります。
とくに疑問を持たずに十数年間通勤してきた彼女でしたが、コロナが蔓延すると日に日に時短になり、週休3日になり・・・
ついに出勤日は週に1日になりました。最初のうちは少し違和感がありましたが、慣れてくるとあることに気づきました。
滞りなく、フツーに業務を遂行できていることに。
「なんで今まで、毎日まいにち通勤していたのだろう? 雨の日も風の日も、凍えるような寒い朝も・・・それって、ムダだったんじゃねーの??」
1日3時間もの時間が生まれた彼女は、子育てを楽しむ余裕ができたのです。
5歳の男の子と3歳の女の子。いちばんお母さんと一緒にすごしたい年頃。
良かったですね。彼女は人間らしい生活に戻れたのです。
《無駄をなくしプロに徹すると、日本がふたたび輝く》
私事で失礼しますが、参考になると思いますので我慢して聞いてください。
私の妻は47才で若年性認知症にかかり、10年ほど前に要介護5になりました。要介護5とは、上の世話と下の世話が必要な状態です。以前はデイケアに通っていましたが、徐々にが悪化してきたことと、残る人生を一緒にすごしたいので事務所の傍らに簡易ベッドをおいて世話をしながら仕事をしております。もちろん、家事一切を私がしております。まあ、手抜きもいいとですが・・・
それでいて私は、毎年新しい企画を発表し、事務所は黒字です。
自分で言うのもなんですが、企画・設計技術は年々レベルアップしております。
なぜ、こんなことが可能になったのでしょうか? 答えは簡単です。無駄をゼロにしただけです。
日本では、足並みをそろえてみんなで同じことをしなくてはならないと摺りこまれてきた気がします。
同じ時間に通勤し、同じ時間にお昼ご飯を食べ、同じ時間に病院に行き、同じ日に休み、同じ日に旅行する。
どこもかも混んでいるのはあたりまえです。だから莫大な待ち時間が発生するのです。たとえばラーメンを食べるのに15分しかかからないのに、行列に45分並んでいるのはよく見る光景です。その間、例外なくスマホをいじっている。(精神安定剤の役割?)
ひとつひとつは小さなムダかもしれませんが、もし、あなたの人生を録画して生産性の高い部分とムダな部分を仕分けしたら、おそらく何十年間もムダにすごしていることが判明するでしょう。
私にはムダが全くない。だから1日4時間ほど仕事しただけで充分黒字になるのです。
もちろん外部スタッフは起用します。私が起用する外部スタッフは一流のプロです。一流プロとはいつも真剣勝負している人たちです。私が言う「真剣」とは、切られたら流血するという意味です。
「申し訳ございませんでした、以後このようなことがないよう、じゅうぶんに気を付けます」では済まされない人です。
流血は解決金を意味します。それを支払わないで済むのは社員です。社員は「申し訳ございませんでした。以後このようなことがないよう、じゅうぶん気を付けます」で済むのでいっこうに成長しません。
社員は剣道をしているようものです。竹刀で「面!」「小手!」とやられても流血しないし、死にもしません。これでは小手先のテクニックが上達するだけで、底力は育ちません。なので一流のプロにはなれないのです。
話が長くなりましたが、日本がふたたび輝く秘訣はつぎの3に尽きます
① 無駄をゼロにする
② 真剣勝負し、プロに徹する
③ 一流のプロとのコラボで他の追従を許さないものを生み出す
Tree-Treeは、無駄をなくしプロに徹すると、日本がふたたび輝く。
それをお手伝いできるクリエーションタワーであると信じています。
2025.07.26 Mac建築デザイン研究所 代表 安田昌弘