先の見えない時代のリスクヘッジな生き方


サラリーマンは一夜の夢?


 

サラリーマンの歴史は意外と浅く、一般化したのは1920年代で、

まだ100年ほどしかたっていません。

人類の歴史からするとほんの一瞬のできごとです。

 

私たちは生まれた時からずっとサラリーマンが一派的だったので、

今後もずっと続くと思いがちですが、すでに終身雇用制は崩壊し、

超大手企業ですら40代くらいで希望退職をつのる会社が目立ってきたのは御存じのとおりです。

 

超大手ですらこうですから、中小零細企業などはいつ倒産してもふしぎありません。

そんな小舟のクルーは危険極まりないので、自前で救命ボートを用意する必要が迫っています。

リスクヘッジ


あなたは何者ですか?

もし会社を辞めたら、住所と氏名だけを書いた名刺をつくりますか?

なんだかマヌケですよね、肩書がないと。

 

名刺とは、あなたが「何者であるか」を示す札です。

何者とは、何をするのが得意な人か。何のプロかを示します。

「このことならだれにも負けない!○○です」と書いておきたいくらいですし、そう書いておくべきだと思います。

「謙虚は美徳」はもう古いです。今は自己プロデュースの時代です。

 

私の場合、建築の学校を卒業後、設計事務所に弟子入りして、そのあと建築会社に勤めながら設計のアルバイトをしておりました。アルバイトがどんどん拡大して、会社からもらっていた給与と同額くらいになったのを契機に会社を辞めました。

それから1年もたたないうちに会社にいた時の給与の2倍ぐらいの所得になりました。日本の景気も良かったですが、勤めていた会社の給与が安かったことが独立のハードルを下げたのも事実です。

 

それともうひとつ、設計事務所に弟子入りしたのが良かったです。弟子入りとは給料をもらわないことです。

教えてもらいに行くのだから、授業料を払らわなくてよいだけありがたいと思いました。ようするに自分に投資したわけです。

師弟関係は古臭いかもしれませんが、私に言わせればとても合理的なシステムです。ズブの素人が入社早々に給料をもらおうとするから、会社側としては落ち着いてじっくり教えてやることができないのです。

 

話が長くなってすみません。大事なことなのでつい・・・

さて、リスクヘッジとは1つの得意先に頼らないということです。

お得意先が3つ以上あれば、1つに切られてもなんとか持ちこたえられます。

逆にこちらも、常に新たな取引先を発掘して、イマイチな取引先と取り替えていけばよいのです。

 

一方、会社勤めは1つの得意先にしがみついているのとおなじですから、危なっかしくて見ていられません。

会社勤めが安全だと思うのは、おめでたい思考停止です。

中身と見かけ、どちらが大事?


♬「ボロは着~ててもぉっ、心は錦~」

これは昭和を生きた人ならだれもが知るフレーズ。そして令和では「人は見かけが9割」がベストセラー。

昭和時代は強がることがカッコよかったが、本音を言いづらい令和では露骨なタイトルがウケル。

どちらも意味合いは同じ。要するに人は見かけで判断されるものなのだ。

もちろん中身がなくて良いというわけではない。中身がないと持続できないからだ。

 

中身と見かけ、どちらがだいじかというと中身だが、どちらを先に準備すべきかというと、間違いなく見かけだ。

なぜならいくら中身が凄くても、見かけが良くないと手に取ってもらえない、試してももらえない、チャンスが与えられないからだ。だからまず、見かけを良くすることから始めよう。その時点で中身は完璧でなくてもよい。

仕事を得たことを機会にレベルアップを重ねていけばいいのだ。

私が駆け出しのころ、京都最大手のマンション管理会社㈱長栄の長田社長(現会長)が私をかわいがってくれて、

祇園の高級料亭の設計を紹介してくれた。もう30年以上も昔の話である。

長田氏曰く「おい、安田。料亭の大将に訊かれたら、胸を張って『はい、得意です!!』と言うんだぞっ!」

(私はまったく経験がなかったが・・・)

 

さて、いよいよ面談。大将は頭のてっぺんからつま先まで私をながめて、「できるか?」

私は直立不動で『はい、得意です!!』

(私は元気だけでなく、それなりの身なりをしていたように思う)

「よし、任せたぞっ!」 ほんの1分で受注してしまった💧

 

それからが猛勉強。数寄屋造りの書籍をかき集め、ほうぼう施設を見学しつつ、3か月徹夜で図面を描きあげた。

今思っても汗が出る。よくぞまあこんな若造に任せていただいたと感謝と同時に、何とかなるものだと自信もついた。

自分で言うのもなんだが、なかなかの出来だと今も思える。

戦うためには城がいる


街は今日もアルファードで埋め尽くされている。800万円もする高級車である。

不景気な世の中で、どうしてこうもアルファードが多いのか? 

いったん気になると自分なりの答えを得ないと気が済まない私は、しばらく立ち止まって道行く車を眺めていた。

答えの一つは「鎧効果」だろう。人は弱いもので、裸では不安だ。だから鎧が必要なんだろう。

「人は見た目が9割」はこういう形で現れるのだろうな・・・と思って見ていたら、アルファードのグリルが中世ヨーロッパの盾に見えてきた。なるほど、鎧と盾か、遠征するときには効果が絶大であろう。

おなじ実力の人でも軽四から降りてくる人とアルファードから降りてくる人では威圧感が違う。相手からの扱いもちがってくる。


では逆に、相手を迎え撃つ戦いに必要なのはなにか? それは「城」である。見上げるような城だったら相手は一目置く。

こちらの主張が通りやすくなる。具体的にいうと、値切られなくなる。ようするに自分を高く売れるわけだ。

値切りにくい雰囲気を醸し出すためにはそれなりにお金がかかるが、すぐに元が取れる。

 

繰り返しになるが、まちがっても自宅の一室、たとえばリビングの一角のソファで打合せしてはならない。

あなたの実力に関わらず、それはアルバイトであるとみなされ、アルバイトなみに時給換算される。

そんなことならアルファードに乗って出向いて行ったほうがよほどマシだ。

ところがもし、あなたの城に迫力があったらどうだろう。あなたの時給は10倍になる。いやこれは大げさでなくほんとうの話。

頭をつかう仕事、感性を発揮する仕事には効果絶大だ。

 

同時に城はあなたの個性を表現する舞台装置でもある。AI時代の今、クライアントとの相性の重要性は増すばかり。

なので、自分の個性をしっかり表現しておくのは親切だとも思うのです。その例として、私のスタジオをごらんください。



自分を高く売る時代


ここは一流ホテルのレストラン。ランチコースが1万5千円也。ラグジュアリーな内装と、ボーンチャイナ二枚重ねに銀のフォークとナイフでいただく。とてもご満悦である。

そこで変なことを考えてしまうヘンな私。(もし、このお料理をタッパーに詰めて下宿に持ち帰って割り箸でたべたらどうだろう? たぶん1500円くらいの値打ちかな?)

やったことないけどたぶん合っているはずだ。やはり、人だけでなく「お料理も見かけが9割?」

 

それを逆手に取る方法はないだろうか? 

たとえばあなたが司法書士であり、30分ほどでちょちょいと書類をつくったとする。知り合いに頼まれてアルバイト感覚でやったとしたら、たぶん3000円もらえばよいところだが、厳格で気品高い事務所で依頼を受けたら3万円請求しても通ると思う。

デザイナー、士業、コンサルタントなど、頭で稼ぐタイプの仕事は「ひとは見かけが9割」の法則が強く作用する。なので、「城」の重要性は計り知れない。もちろん、美容師さんやエステシャン、ネーリストさんにも「城効果」は絶大である。

 

そうはいっても、城を持つのは並大抵のことではない。自社ビルなんて夢のまた夢。

一等地のテナントビルは「城」として有効かもしれないが、家賃は目がとびでるほど高い。そもそも高い家賃を払って、人を雇ってなりたつ商売なんてあるもんか・・・

 

話がちょっと飛躍しすぎましたね。話を元に戻します。

このブログのテーマは「サラリーマンとして固定給を稼ぎつつ、副業でリスクヘッジをはかる」でしたね。

ではいよいよ、種明かししましょう。

ハイブリッドホームという新手


・立派な城を見て、訪問者が襟を正すので自分を高く売れる

・その奥には自宅がある

・よって通勤する必要がない

・通勤が不要なので、浮いた時間、交通費、体力を生産活動に回せる

・拘束されないので仕事の合間に家事をし、家事の合間に仕事ができる

・仕事と子育ての両立ができる

・家賃は普通のマンションより3割高いだけ