いよいよ、スタジオの設計(3)


一般的に、スタジオの建物は防音的にコンクリート造が有利と言われていますが、それは無知です。

確かにコンクリートは質量が大きいですが、一旦振動が伝わると建物全体に響き渡るのは、鉄骨造でもコンクリート造でも同じです。

肝の肝は、スタジオで発生した音波・振動を建物本体に伝えないように遮断することです。

ところが、遮音は質量則であり、耐震も質量則ですので、180度相反した結果となります。

遮音を優先すると、耐震がたたない。

耐震を優先すると遮音性能が限られる・・・

それに対する私たちのソリューションは、軽量多重遮音です。

床は従来通りコンクリートの浮床ですが、浮床の上にピン工法で木造の軸組を建て、壁と天井を木質反射パネル(Lock)とフラッターエコーを防止しつつブーミー低音を吸収する(Trap)のバランスよく組み合わせます。

スタジオは完全独立で、建物本体のどこにも触れません。また、建物本体はすべて別の遮音体で包み込み、スタジオで発生した音波と振動が建物本体に伝わらない多重遮音構造にしています。

それぞれの遮音構造体は極力軽量化していますので、耐震構造を邪魔することがありません。

 

大地震の際、浮床が横滑りして、建物本体から引き出しのようにスタジオが飛び出さないように、浮床の周囲には強烈なコンクリートの縁を設けていいます。