こないだの土曜日、コナミスポーツの帰りに、フレスコで買い物をしてたら、「あら、安田さん」と呼び止められました。
「どこのおばさんかなー」と、キョトンとしてたら
「私。田中です。 お母さんのお連れの」とにこやかに仰いました。
「すみませーん。ご無沙汰しすぎて、すっかり忘れてました」と対応しながら、頭を回しました。
母が生きてたら、今年92歳。
お母さんと同い年と言ってたから、 このおばさんも 92歳かあ・・・
腰はまっすぐ、シャキッとのびていています。
上下とも、ネイビーで統一した艶のある生地に、カラフルな刺繍がほどこされています。
とてもセンスが良かったので、ちょっと褒めたら、 とても喜んで、話が弾みました。
「安田さんのお母さんは歌がうまかったねー」と言ってくれました。
そういえば母の遺品には、たくさんのカセットテープがありました。母の歌声を録音したものです。
まあ、私は、一度も聞いていないけど・・・
美代子さんは、「スーパーの買い物は重いので、タクシーで帰るの」と言いました。
家まで500mもないのに・・・もちろん1メータです。
「でも、ちょっと多めに払うの❤」という、田中さんの表情や、言いぐさには、微塵も嫌味がありません。
やっぱり余裕があるひとは違うなあと思いました。
虚勢を張っている人はたくさんいますが、田中さんほど自然に、チップを払える日本人は珍しいと思います。
「カッコいい!」と思いました。
美代子さんの余裕には、ワケがあります。
美代子さんのご主人は、小さなお店をやってました。戦前からある古い木造家屋で。
1階にお店、2階がお住まいでしたが、 今から40年ほど前に小さなビルに建て替えました。
1階にご主人のお店と自宅。もちろんバリアフリーです。
2階と3階には、たぶん、1ルームマンションが6つあると思います。
人の懐をのぞく趣味はありませんが、この仕事をしてる私は、外から見ただけで間取りが分かってしまいます。
そして、とーの昔に 返済が終わっているはず。
「高島屋なんかへも行くんですかー?」と聞いてみたら、
「はい、ときどき行くわよ。ちょっと3階の婦人服売り場へ寄って、あとでデパ地下へおりて、おいしいものを、ちょっとだけ買ってくるの」
その言いぐさにも、まったく気取りがありません。
私は 美代子さんを好きになりました。
美代子さんと別れた帰り道、私は思いました。
美代子さん。 思い切って、賃貸マンションにしておいて、ほんとに良かったね。 もし、古屋のままやったら、第二の人生を楽しむことは難しかったでしょう。
だって美代子さんのご主人は自営業やったし、国民年金しかないわけでしょ。
国民年金しかなかったら、デパ地下どころか、エアコンの電気代も 節約しんとあかんよね。
それこそ、爪に火を点すような生活しか できなかったはずやね・・・
マンションは手に余るほど大きくする必要はありません。
むしろ美代子さんくらいの規模がちょうどいいんです。1ルームが6戸。古いので、たぶん、家賃は5万円ほど。
それが6戸で30万円。そのなかから、維持費や固定資産税など差っ引いて、手取りは月20万円ほど。
それと国民年金を合わせると、美代子さんが第二の人生を楽しむのに、ちょうど良い金額です。
賃貸マンションの良いところは、大きな額でないけど、毎月毎月、泉のようにお金が湧いてくることです。
しかも、その泉は、枯れることがない。
ここで皆さんに明言しておきますが、建物は、30年や40年で、壊れるものではありません。
NYの、エンパイアステートビルは、 築94年ですし、銀座和光は築93年ですが、威風堂々としています。
もちろんメンテナンスは必要ですが、建物本体は 200年でも300年でも、もつのです。
さて、もし田中さんのご主人が、65歳の時に3000万円の預金を残していたとして、そして、自宅兼店舗のままで、建て替えなかったら、どうなっていたでしょう?
人間、いくつまで生きるか わりません。
もし、75歳で死ぬと分かっていたら、毎年300万円づつ、使うことができます。つまり毎月25万円です。
でも、100歳まで生きるかもしれない。
そう考えると、年間100万円程度しか使えないわけです。
月にわずか8万円ででは、焼け石に水。
何時まで生きるか?
予測がつかないときは、セーブするしかありませんよね。
その結果、予測に反して若死にしたら バカを見ます。
それともうひとつ、3000万円という、まとまったお金があったら、それを当てにする人が出てきたりします。
たとえば息子が、分譲マンションを買うというので、頭金を出してやったりしたら、残された人生は地獄とまでは言いませんが、まーそれは、修行の日々でしょう。
その点、小さな賃貸マンションをもっていたら、 幸せ になれます。
まとまったお金がなくても、毎月毎月、小さな泉からお金が湧きだしてくるから安心です。
いつまで生きても、遠慮はいりません。 はたまた、すぐに死んでも大丈夫です。
残された人生、計算しながら生きるって、 イヤじゃないですか?
田中さんから学ぶことがもうひとつあります。
お金は 貯めたり、増やしたり しようとしないことです。
「お金は天下の回りもの」
しがみついてないで、 使える範囲でつかいましょう。
お金は 循環させることによって、景気が良くなって、みんな 幸せになります。
美代子さんのように、ごく自然に、気前よく、 お金を使える人がふえることを願っています。
