「これだけ建築費が高騰すると、賃貸マンション経営がなりたたない」諦めてかけているあなたに、稼げる知恵を授けます。
大人が本気で住める単身者マンション
2019年夏。私はパリのアパルトマンをモデルに、「大人が本気で住める単身者用マンション:21㎡」を企画・設計していました。
ちなみに日本のワンルームマンションは大学生と社会人1~2年生が対象となっていて、あくまで一時的な住まいという位置づけです。ですから長年住むには耐えられませんが、むしろその方が良い、というのが高度成長期の発想でした。
しかし今は生涯単身でいる自由もあるし、結婚を考えている人も40才くらいまで独身でいるのが普通になっているようです。
ですから私は「大人が本気で住める単身者用マンション」を企画・設計したのです。
なぜ、専有面積を21㎡に設定したのか? それには2つの理由があります。
まず、パリには21㎡で夢のある豊かな暮らしができるアパルトマンがいくらでもあるからです。(下の写真は専有面積16㎡)

もうひとつの理由は、大家さんに儲けてもらいたいからです。
たとえば、専有面積26㎡のお部屋と同じ家賃がとれるお部屋を21㎡で創れたら、家賃収入は20%も増えます。
もちろん、魅力がないと始まりませんが。
私の企画の強みは、しっかり料理を楽しめるキッチンとベッドクリーク(入り江)です。
お料理男子やお料理女子に楽しんでもらうには、それなりのサイズのキッチンが必要ですし、脱ぎ捨てたパジャマを目にせずにすむベッドクリーク(入り江)はとても有効です。それでいて21㎡に収めることができたのは、バスタブを排除したこと、全自動洗濯機をキッチンカウンターの下に収めたからです。さらに「空間を広く見せるテクニック」を一振りすることは欠かせません。
結果、専有面積21㎡で、ソファダイニングとパソコンデスクが置けて、ベッドクリークもある、完璧な「大人が本気で住める単身者用マンション」の設計が完成しました。

コロナ渦の追い風
「大人が本気で住める単身者用マンション」の設計が完成したころ(2020年3月)、新型コロナウイルス感染症が流行しました。
建築主は、大手生命保険会社に勤める38才の有能な女性、役職は課長代理です。
彼女の住まいは京都市の中心部であり、勤務地は大阪市のビジネス街にあります。通勤時間は1時間半かかります。
とくに疑問を持たずに十数年間通勤してきた彼女でしたが、日に日に時短になり、週休3日になり・・・
ついに出勤日は週に1日になりました。最初のうちは少し違和感がありましたが、なれてくると、あることに気づきました。
滞りなく、フツーに業務を遂行できていることに。
「なんで今まで、毎日まいにち通勤していたのだろう? 雨の日も風の日も、凍えるような寒い朝も・・・それって、ムダだったんじゃねーの??」
1日3時間もの時間が生まれた彼女は、子育てを楽しむ余裕ができたのです。
5歳の男の子と3歳の女の子。いちばんお母さんと一緒にすごしたい年頃。
良かったですね。人間らしい生活に戻れたのです。
終身雇用崩壊と2035年の働き方
国立公文書館によると、もともと戦前の日本は労働者の移動が激しい社会で、特に工場で働く人は熟練工になるとすぐに、より給料の高い職場へ転職していたといいます。
つまり、労働力の流動性が高かったわけです。
いまから約80年前、第二次世界大戦後の混乱・貧困にあった労働者がまず生活の安定を求めるようになったこと、そしてその後の高度経済成長を背景に現代のような年功序列、終身雇用が定着していきました。
戦争、そして高度成長という特殊な期間にマッチした制度なので、状況が変れば終身雇用が終焉を迎えるのは当然のことです。
これからどうなるのか? 今から10年前に厚生労働省が懇談会を開いて議論していました。
厚生労働省 「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」
1.各個人が、自分の意思で働く場所と時間を選べる時代、自分のライフスタイルが自分で選べる時代になる
2.単にお金を得るためではなく、社会への貢献や、地域との共生、自己の充実感など、多様な目的をもって働く
3.今とは違って、人は、一つの企業に「就社」(就職)するという意識は希薄になる。専門的な能力を身に着けて、専門的な仕事
をするのが通常になる。
4.これまでのように企業規模が大きいことが重要なのではなく、働く人にどれだけのチャンスや自己実現の場を与えるかが評価
されるようになる。
『厚生労働省』と聞くと、「また絵空事か・・・」と思うかもしれませんが、私が50年前から「最強の生き方!」と自信をもって
実践してきましたので、間違いありません。
人を雇って儲かる仕事ナシ
突然ですが、恥を承知で、私事をお伝えします。
私は1985年にMac建築デザイン研究所を起業し、常に数名のスタッフを雇って建築企画・設計を営んでまいりました。
設計事務所経営は山あり谷ありで、谷が続くと経営が成り立たず、自宅を売却して給与を払ってきました。
ですから今の自宅は3軒目です。
「家は3回建ててはじめて満足できると言いますよね」⇐「なに落ち着いてんねん?!」と、ツッコんでください。
今考えると、クリエイティブな仕事において固定給は、生産性や成長を妨げる要因だったので、経営者としても社員にとっても宜しくなかったと思いっています。

2020年に累積債務が個人経営の設計事務所としては巨額である7000万円にのぼったこと、テレワーク環境が揃ったこと、コロナが蔓延したことにより、それぞれのスタッフは個人事業主として独立してもらうことになりました。
正に、厚生労働省の「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」を実践するときが来たのです。
その結果、どうなったか?
7000万円の借金は5年で完済できました。
いいえ、元スタッフにパワハラ行為はしておりません。むしろ、当時の時給の1.5倍払っております。
中には夢だった小豆島に移住して、広々とした庭のある古屋を購入して、家庭菜園はもちろん犬、猫、ウサギなどといっしょに暮らしながら、デザイン事務所をやりくりしている人もいます。しかも子育てもしっかりやっています。まさにウィン・ウィン、良いことづくめになりました。
その理由を突きつめたくて、理容業界で長年にわたりたくさんの弟子を育ててきた友人と話し合った結果、「社員として給与をもらいながら勉強しても本物は育たない」という結論に至りました。
「剣道の達人であっても、いざ真剣を握らせたら、すくんでしまって何もできない」というのが理由です。
私は30歳で起業して真剣勝負をしてきました。建築設計はとても責任の重い仕事であり、小さな失敗も許されません。
私は起業当初、小さな失敗を4回やらかしました。改修するのに1回あたり500万円~1000万円かかりました。
もちろん「建築士事務所賠償責任保険」には加入してはいますが役に立たず、すべて自腹で支払ってきました。
1000万円で命を落とすわけではありませんが、けっこうな流血です。輸血しないと死んでしまいます。
これも借金が増えた原因のひとつでした。そんなとき、たとえ10万円でも社員から罰金をとることはできません。
社員は「すみませんでした」と頭を下げるだけです。つまり竹刀で叩かれるだけなのです。これでは底力は育ちません。

長くなりますが、もう少しおつきあいください。
「もうどうにもならない。このままでは死あるのみ。ついに俺の人生も終わったか・・・。そんな思いに駆られることもしばしばだった。
そのたびに、もがき苦しみ、唸りながら、考えに考えた。冷静に理詰めで考えるなんてもんじゃない。『はらわた』の底から振り絞るようにして、生き残るための活路を必死で考えたのだ」
これは、裸一貫から起業して2兆円企業を作り上げたドン・キホーテの安田隆夫氏の名言です。
私なんかとても足元にも及びませんが、『はらわた』の底から振り絞るように考えに考えて生き延びてきたことは事実です。
では、個人事業主として独立した彼らかがどうなったか? 私がうっかり失敗しそうなとき、先回りして注意してくれるようになりました。
すごい変わりようですね。いいえ、嫌味ではありませんよ。
もうひとつ、私が知りたかったことを安田隆夫氏が教えてくれました。
「失われた30年の原因、それは日本のメーカーが『世界一流』の座に安住して『戦わないサラリーマン集団』に落ちぶれてしまったことにあるのではないか」
これから日本は、厚生労働省のいう「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」が実現して、不死鳥のごとく舞い上がる、
明るい未来があるものと確信しています。
デジタル時代だからこそ実店舗
人間とAIとの差は何でしょうか?
私なりの答えは、「人間には体がある、命がある、人の痛みがわかること」です。
優秀な仕事師であることは必須ですが、「この人に依頼したい」「この人と一緒に事業をしていきたい」と思ってもらうことが重要だと思うのです。
人はそれを「人柄」とよびます。「人柄」や「生きざま」はその人から自然とにじみ出るものです。
でも、「人は見た目が9割と」言いますので、やはり身だしなみは大事だと思います。
そして実店舗、それは人柄や生きざまを表現する場でもあります。
「Amazonプライム感謝祭! 会場はこちら!」と通知がきますが私は会場らしいものを見たことがありません。
せめてバーチャル会場くらいは創って、AIで作成した好みのモデルさんとお話ししながら買い物を楽しみたいものです。
こんなことを言っているのは昭和の人間だからでしょうか?
でも、大手ハウスメーカーと契約した理由のひとつに、「営業マンが誠実だった」ということはおおいにあり得ます。
人柄や相性はやはり大事だと思います。
とくに美容室やネイルサロンなどは、インテリアが醸し出す雰囲気がだいじではないでしょうか?
日常を忘れるラグジュアリーなインテリアは、カットや縮毛矯正の料金を高く設定できる力があります。
美容師さんの実力は同じであっても、自宅の片隅でカットするのと比べて、ラグジュアリーなお店で日常を忘れて至福のひとときを過ごしながらのカットは、1.5倍くらいに値段設定できるのではないかと思うのです。
ハイブリッドホームという新手
・立派な城として、訪問者が襟を正すので自分を高く売れる
・その奥には自宅がある
・よって通勤する必要がない
・通勤が不要なので、浮いた時間、交通費、体力を生産活動に回せる
・拘束されないので仕事の合間に家事をし、家事の合間に仕事ができる
・仕事と子育ての両立ができる
・ワンちゃんと一緒に暮らせるし、屋上にはドッグランがある
・家賃は普通のマンションより3割高くとれる

