AI社会こそ人間の出番


ひょんなことから約4か月間(2022425日~819日)ホテル暮らしをすることになりました。

自宅を3度建てて掴んだ家づくりのコツや裏技、ホテル暮らしから生まれた革命的なアイデアなど、為になるだけでなく、

私の人生を赤裸々に語る、愛と感動の物語です。 いちばんはじめ「優雅な朝食」から順番に読んでいってくださると嬉しいです。


AIに仕事を奪われる」と世間でよく言われていますが、私は、全くそうは思いません。

人間は、本当は合理主義が好きではないからです。

 

人間は、勝ち負けそのものよりも、勝負の中に繰り広げられるドラマに感動します。

人間は、情熱に恋します。挑み続ける姿に勇気をもらいます。

強者の内面に弱点をみつけたとき、ちょっと好きになったりします。

誰と一緒に生きたいか、誰と一緒に仕事したいかを大事にします。

 

AIが成長すればするほど、人間はムダ、ソツ、こだわり、人柄、美学などを求めるようになるのではないでしょうか。

いいえ私は、品質やサービスは二の次と言っているのではありません。

もちろん品質やサービスは一番を目指さないといけません。


エピソード1


河原町通りの歩道に黄金色のカーペットを敷き詰めような、艶やかな銀杏の落ち葉と戯れるモモ。

この2、3日ごはんも減り、今日はまったく食べない。とうとう今日は水も飲まなくなってしまった。

斜向かいが動物病院なので、こんなときの為にと、常から混合ワクチンなどでお世話になっておいた。

「先生たいへんです! 水を飲んだだけで吐くようになってしまいました。何とか診てください!」

先生は迷惑そうに「今から行かねばならないところがあるので・・・」と私の必死の懇願を無視して出かけてしまった。

私は愕然とした。まさかと思った。

モモは3年前にペットショップのコジマで、お互いの目と目が合って、そのまま家に連れて帰った白いチワワである。

運が悪いことに今日は土曜日。このままではモモが死んでしまう。

その医師が動物の命くらい何とも思ってないことに対する怒りと情けなさに打ちひしがれて、私はへなへなと歩道に座り込んでしまった。

そのときふと、昔、設計させていただいた「さくら動物病院」を思い出した。

遠いとはいえ不義理していた自分を恥じつつ、しかしモモの命には代えられないので思い切って電話したが、あいにく留守電だった。

「緊急の方は録音してください。できる限り対応いたします」とのこと。

そもそも私の不義理の結果なので期待するわけにもいかず、そのまま座り込んでいると、10分ほどして電話がかかってきた。

 「どうしましたか? 安田さん」

私はしどろもどろの涙声で、状況を話した。

 

30分で病院に戻りますから、すぐ来てください!」

そのとき私は、この世に神がいると思った。常は無神論者のくせに。

連れて行くとさっそくバイタルとレントゲン。天日干し銀杏の実を数個飲み込んでおり、細い小腸に詰まっているフィルムを見せてもった。

先生曰く「今から手術します」

私はその時点で満足しました。もし助からなくても思い残すことはないと。

 

手術が終わるって時計を見ると、もう21時半でした。

なんといってお礼を申し上げてよいかわからず、ある限りの感謝を伝えました。

その日は入院させてもらいました。夜中に急変したときに対処してくださるとのことです。

 

後日、全快したモモを連れてお礼に伺いました。

「お医者さまって大変ですね。命を預かるとはいえ、365日、24時間、気が休まりませんよね」と言ったら、

「放っておくほうが、気が休まりませんから」と仰いました。

直視できませんでしたが、後光が差しておりました。


エピソード2


「亜由さんと結婚させてください。全力で亜由さんを守ります!」

クマのような男が我が家にやってきた。

二人で一緒にいるときがいちばん心安らぐと事前に娘から聞いていたこともあり、貧乏だがとても誠実そうな男に好感を持った。

それでも娘を出す父親として、一度は発言してみたかった言葉があり、リハーサルしてあった。

一生に一回のこと(のはず)だし、ここはしっかり言っておかないと・・・ドキドキ・・・

 

「拓ちゃんと呼んでも良いですか?」

今、『亜由さんを全力で守ります』と言ってくれたのに、しつこいようですが、娘の親としてひとつ確認しておきたいことがあります。生涯のうちには全力で守っても守り切れないほど大きな衝撃が二人を襲うことがあるかもしれません。そのときは守り切れなくても仕方ないと思っています。

ただそこで大事なのは、守ろうとする姿勢です。困難に真正面から立ち向かって、全身全霊で亜由を守ろうとするまっすぐな姿勢を約束してください。斜めに構えたり自分の保身が少しでもちらついたら、私は死んでも死に切れません」

 

 

拓ちゃんは約束してくれました。


名医とは何でしょう? 

 

「あの先生に執刀してもらってダメだったら仕方ない」と思える先生ではないでしょうか? 

私もそんな建築家になれるよう、日々挑み続け、技術やアイデアを磨き続けております。