天才募集1

 

「少年よ大志を抱け!」はまちがい?


私が設計事務所として独立して30年余りが経過しました。

その間、十数名の弟子を育てましたが、実際に独立開業して生計を立てている人はわずか2名にすぎません。

「弟子募集」 のページには、 「将来、独立開業したい人!」 と名言していましたし、面談のときもそのことを真っ先に確認してきました。

 

そして私は約束通り、ルーチン作業は一切させず、独立開業、そして運営に必要な要素をできるかぎり教えてきました。

でも彼らは初心を忘れたのか、その教えを積極的に吸収しようとしませんでした。

そして独立開業に最適年齢である30歳を迎えたころ、あるていどの給料をもらえる建築会社に就職することが多かったのです。

 

私はクラーク博士の 「少年よ大志を抱け!」 を真に受けてそのまま突っ走ってきた男です。

なんのためらいもなく独立起業して、今までやって来れました。

途中でやめようと思ったことなど一度もなく、面白くてしかたない毎日を送っています。

 

しかし、大志を抱いた後輩がそれを実現できない現実を目の当たりにしていると、私の考えが間違っていたのではないかと思うようになったのです。————

 

 

ホリエモンの著書


そんなとき出会ったのが、ホリエモンの著書  「君たちはもう働かなくて良い」  でした。

 

堀江貴文さんの本はタイトルが超魅力的なので、うっかり買うとがっかりすることが多いですが、この本は違いました。

 

「AIやロボットが、しんどい仕事やめんどくさい仕事を片付けてくれるので、君たちは好きなことをしていれば良い」 と書かれています。

これを私なりに解釈すると、イチローさんや宮崎駿さん (ジブリ) のような人を対象にしているわけです。

イチローさんは、どの選手よりもストイックなトレーニングを積んでいますが、間違いなく楽しんでいます。

宮崎駿さんは老体に鞭打って頑張っているように見えますが、アニメを作っているときが至福の時間に違いありません。

 

確かに彼らは一般に言う  「労働」  はしていません。 

 ちなみに労働とは  「賃金・報酬を得るために、体力や知力を使って働くこと」  ですから、

まさしく彼らは働いていないわけです。

 

 

 

 

でも、待てよ?


でも待てよ。

この本を一般の人が読んで、真に受けたらエライことになるぞ!

そんなこと、誰にでもできるもんじゃない! ホリエモンは罪作りだ!

 

私は興奮して本を勢いよく投げつけました。

本はバチンと音をたてて床に落ち、くるりと一回転してこちらを向いたのです。

 

ふと見るとタイトルには  「僕たちは・・・」  と書かれており  「君たちは・・・」  とは書かれていません。

 要するに私は読み間違えていたのです。

「君たちはどう生きるか」  がベストセラーになり、頭に焼き付いていたんですね。

なるほど、  「君たちは・・・」  ではなく  「僕たち、要するにホリエモンのように才能のある人は・・・」  という条件付きだったんです。

 

ようやく合点がいきました。

私は建築デザイナー、プロデューサーとして好きなことをして食ってきましたが、それにはかなりの才能が必要だったんですね。 

親に感謝!

 

自分では意識していませんでしたが、志だけはムリだったのです。

そこで、私は弟子募集の方針を大きく改めることにしました。

「ほぼ天才募集!」   です。 

宝石の原石は磨けば光りますが、単なる石ころを磨いたらすり減って丸くなるだけですから・・・

 

 

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