お部屋探し、前半戦で勝つ!

家族が毎日過ごす大切な空間を見つけることがお部屋探しであり、家賃は家計にとって最も大きな支出ですので、

お部屋探しは真剣勝負です。

お部屋探しの前半戦はネット検索、そして後半戦は現地視察です。

 

ネット検索では 「減点法」 でふるい落とし、現地視察では 「魅力で勝負」 というやりかたです。

これは就活やタレントのオーディションと似ていますね。

前半の書類選考では理論的に、そして面接(オーディション)では直感的、そして相性が重視されます。

 

 

ここではまず、お部屋探しの前半戦で勝ち残る要件をお話します。

勝ち残るにはマンションの実力を高めることが本質ですが、入居希望者の言いなりになっていては儲かりません。

そこで、どうすれば書類選考で残りやすいか、費用対効果を考えながら作戦を練っていきます。

同時にネット検索上有効な小手先のテクニックも紹介します。

まあ世の中、実力はもちろんですが、要領もかまさないといけませんので・・・

 


ネット検索(ふるい落とし)で勝ち残る


 

お部屋探しのポータルサイトは3つあって、アットホーム、HOME’S、SUUMOです。(少し古い情報ですが、本質的には変化ありません)

いながらにして検索できるのでとても便利なのですが、いざ検索をはじめてみると膨大な数のお部屋が出てきます。

5000室くらいは出てくると思ってください。

 


 

5000室ものお部屋を1つ1つ見ていくと日が暮れるので、いくつかの条件で手早く絞り込んでいきます。

入居者は絞り込みに慣れているので何の抵抗もないと思いますが、無意識のうちに情報を粗末に扱う 「手荒いふるい落とし作業」 に

なってしまいます。

そのとき、良いお部屋もいっしょに捨てられてしまうことがあります。

これは賃貸マンション経営者にとって悔しいことですが、入居者にとっても損失です。

 

 

検索条件はたくさんあるが、重要なのは4つ

 


 

「賃貸マンションの事業をお考えの方は、上の表で赤文字の 【無視マーク】 については気にしないで良いですよ」 という意味です。

お部屋探しする人は沿線駅、家賃などの窓をせっせと埋めていくでしょう。

でもそれは、あくまで「希望」であって現実はそう甘くないわけです。

 

これは賃貸斡旋業者からの生の情報ですが 「お部屋探しをする人が最初に指定した沿線と駅で最終決定することはほとんどない」

とのことです。  なぜなら、理想の沿線、理想の駅は皆が望むので家賃が高く、かならず予算オーバーになるからです。

 

「では、間取りや面積を我慢するのか?」 というとそうはいかない・・・

それを証明するアットホームさんのアンケート調査があります。

 

 

このグラフを表面的に見ると 「駅から歩く距離は遠くてもガマンするけど、住みたい駅を変えるつもりはない!」 ように思えますが、

実際にいろいろな条件を考えあわせると 「住みたい駅に固守して延々と歩くくらいなら、駅を変えて、その駅から近いマンションも悪くないよねー」 となってくるわけです。

 

家賃についても、あくまで 「希望」 にすぎず、理想の家賃と理想の間取りの欄に ☑ をいれて検索しても、思うような物件は出てきません。

それはあたりまえのことです。 あなたが何かを買おうとしたとき、「予算が余った」 というが経験がおありでしょうか。

「欲しい!」 と思うものは予算では買えないので、奮発するか、何か我慢するしかないわけです。

お部屋選びも例外ではありません。

 

 

また、こだわりの条件も、あまり基にする必要はありません。 入居者はあくまで、アンケート欄から選んでいるだけです。

アンケートは実在するお部屋の間取りや装備を分類して表にしただけです。

ほんとうに入居者が求めるものが実在しないと、アンケートには載りませんし、そういう入居者だって、自分が何を欲しているか、

優先順位がどうなのか、自己分析はできません。それが素人です。

 

 

突然ですが、レスリングの話し


 

とつぜんですが、これは皆さんご存知のレスリングの女王たちです。 みんなメダリストですが、それぞれ違う階級です。

 

すでにご存知かもしれませんが、ここで少し伊調かおりさんの経歴に触れさせてください。

伊調かおりさんはお姉さんの伊調千春さんとともに青森県の八戸クラブでレスリングをはじめ、愛知県の中京女子大学附属高校から女子レスリングの強豪校として知られる中京女子大学へと進学しました。

当時は56㎏級で、ライバルの吉田沙保里さんに苦戦しました。 のちに63㎏級に階級を上げてから無敵の存在となりました。

 

もちろん、階級を変えたから無敵になったなどと言うつもりはありません。死ぬほど苦しいトレーニングに耐え、素晴らしいコーチの指導を受け、ありとあらゆる知恵を絞った結果、無敵の存在になったのだと思います。

でも、もし現在も55㎏級のままで戦っていたら、吉田沙保里さんに対しては苦戦しないといえるでしょうか?

 

私がレスリングのことに触れたのにはわけがあります。 賃貸マンションにも「階級」があるからです。

下の画像は、お部屋探しサイトの絞りこみ窓です。

 

[間取りを絞込む窓]

 

1LDK・2DK・2LDKのように階級があります。

ちなみに、LDKとDKの違いですが、8帖あればLDKと表示可能と公取が決めています。

 

[専有面積の絞り込み窓]

 

5㎡単位の階級になっています。レスリングと似ていますね。

 

 

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●2つの階級にエントリーできる間取りに

 

たとえばあなたが賃貸マンション経営を考えるとき、1住戸あたりの占有面積を35㎡に設定したとしましょう。

差別化を計るため、オフィスやアトリエにも使える広いスペースのワンルームを企画しました。

この場合、ネット検索では 「1R」 に ☑ してもらったときだけ表示されます。

もし、下の画像のように何枚かのスライド扉でお部屋の一部を仕切れるようにしておけば 「1LDK」 に ☑ してもらったときも表示されます。

つまり、チャンスが2倍に広がったということです。

 

これはネット検索上で有利なだけでなく、入居者が実際のお部屋を見にいらっしゃった時にも効果を発揮します。

たとえば彼は 「広い1ルームが良い」 と言い、彼女は 「寝る場所だけは仕切りたい」 と意見が別れた場合、折り合いがつきやすくなります。

ただし、スライドドアが貧乏クサイものではダメです。スタイリシュなものにいたしましょう。

 

スライドドアで2つの階級にエントリーできるように

 

この理屈は「50㎡をどう企画するか?」の時も使えます。

1LDKと2LDKの2つの階級にエントリーできる企画しておいてください。

 

●占有面積は末尾が0か5に

これは「婚活サイト」の結婚相手に対する希望の☑欄です。

 

婚活サイトはお部屋探しサイトと似ています。

相手に希望する「年齢」「身長」「学歴」「年収」などを指定します。

しかも、身長を記入する窓は5㎝単位です。

さて、ここで問題です。

 

Q : 貴殿の身長は169センチです。あなたはとてもポジティブでルックスもよく

    身長のことで不満を感じたことはありません。

    さて、あなたは「婚活サイト」の身長欄のどのランクにチェックしますか?

 

A : もちろん170㎝ですよね!  まさか165㎝にチェックしないですよね。

 

そうです。そうすべきです。機会損失する必要はありません。 

でも賃貸マンションの場合は、49㎡のマンションを勝手に50㎡と表示することはできません。公取に指導されます。

ですから、設計するときにちゃんと「専有面積の階級」に乗るようにしましょう。

 

ここでもう一度、占有面積の絞込窓をご覧ください。

[専有面積の絞り込み窓]

占有面積の絞込窓5㎡単位の階級になっていますね。

あなたが新しい賃貸マンションを企画するとき、もし34.9㎡の間取りをつくったら、入居者が「35㎡以上」の窓に☑した場合は表示されません。

逆に、36㎡であっても、37㎡であっても、39.9㎡であっても、みんな「35㎡以上」のくくりとして評価されます。

ですから、あなたが50㎡クラスのマンションを企画するときは、ピッタリ50㎡が利口なわけで、49.9㎡は機会損失、そして54.9㎡はコストの損ということになります。

 

●間取り図と写真は大事

お部屋探しの検索、ある程度絞られると、このような画面が出ます。

 

ここで大事なのは、しっかりとした間取り図とできるだけ多くの質の良い写真です。

上に表示されたお部屋には「写真充実」という表示があります。

下のお部屋には写真が少ししかありません。

もしかして下のお部屋がとても魅力的なものだったとしても、残念ながらわかりません。お部屋探しをしている人は、膨大な件数から絞りこむことに追われるのに、わざわざ写真を請求してくれるでしょうか?

 

さて間取り図ですが、各部屋の広さ(㎡か帖数)だけでなく、テレビやソファ、ベッドなどの配置例を記入してください。

 

お部屋の広さだけでなく、テレビ、ソファ、ベッドなどを書き込んだ間取り図

 

入居者は間取り図を見ても実際の広さを想像できる人が少ないものです。

そこで間取り図に家具を書き入れて、そのお部屋で生活することをイメージしやすくします。

 写真はお部屋全体の雰囲気やセンスを伝えるものと、玄関収納やクローゼットの収納量や使いやすさを示すもの、キッチンやバスの設備を紹介するものが必要です。

 

家具を置いて生活をイメージできる画像(実写)

 

僅かなカウンターでトイレに潤いを


試着もできる広いウフォークインクローゼット


 

自分のマンション専用のサイトをつくろうと張り切るオーナーがいますが、高いお金をかけても自己満足に終わるケースがほとんどです。

それより、できればプロに取材してもらうと効果は絶大です。

これは大阪府で私が設計した「枚方つーしん」の取材を受けたトラスト・ヒルズです。

 

さて、工事が完成するまでに満室にしたいときはどうしたらよいでしょう。

現在のように金利が安く、職人不足の時代は12月に完成させるべきです。

その理由は3つあります。

 

1.完成したマンションを入居者に見てもらえるので成約率がグッとあがります。

2.10件中9件のマンションは3月完成を目指します。ただでさえ職人不足なのにほんとうに馬鹿げた話です。

  それは、お正月にハワイへ行くようなもので、値段は高いしごった返すし・・・ろくなことはありません。

  建築竣工検査と引き渡しは1月5日ごろに行ってください。1年間、固定資産税を払わなくて済みます。

3.12月から3月までの金利が高いと思い込んでいるが、実はそうでもありません。

  たとえば2億円の借入金がある場合、現在の金利は1%程度ですから、1年分で200万円、1ヶ月ぶんなら17万円。4ヶ月分で68万円です。

  2億円のマンションの年間売上は2000万円、1ヶ月の売上は166万円ですから確実に3月に満室になるので安心です。

  68万円は広告費だと思ってください。

 

それでも3月まで完成できない場合は、かなりリアルなCGをつくってください。

下のCGと、先ほどご覧いただいた画像(実写)と比べて見てください。

 

家具を置いて生活をイメージできる画像(CG)

 

●こだわりの条件は外すな!

住みたい駅、希望家賃、間取りなどで絞り込んでもまだ500件くらいでてきたので「こだわりの条件」のチェック欄に「せめて、これくらいは欲しい」と思うことに☑しました。

 

 

そしたら、どうなったと思います? 一気に40件に絞られてしまいました。

 


 

「せめて、これくらいは欲しい」と思う設備を☑しただけで、10分の1以下になったのです。

実は、下記の「こだわりの条件」は、入居者のアンケート調査で上位に上がった項目です。

少し前まではガスコンロを指定する人が多かったのですが、IHのパワーが認められたこと、IH対応フライパンが当たり前になったので、どちらでもOKになりました。

 

☑ システムキッチン : あまりにひどいキッチンだといやなので・・・

☑ バス・トイレ別  : アタリマエでしょ

☑ 追い焚き付き   : これは欲しい!

☑ 浴室乾燥換気扇  : 天気の悪い日がつづくと、つぎに着るものがない (^^ゞ

☑ 洗髪洗面台    : 洗髪はしないけど、洗面台を綺麗にするのに便利

☑ 温水洗浄便座   : つまりウォシュレット、これがないと・・・

☑ エアコン     : 有無を聞いてくること自体信じられない

☑ 地デジ      : 同上、そして同情

☑ オートロック   : 女性には必須

☑ モニタ付インタホン: 今どきモニタのないインタホンってあったっけ

☑ 洗濯機置き場   : よくそんな質問しましたね

 

これから賃貸マンションを企画をする人は、上記の設備はそろえておきましょう。

でないと、土俵に上がれません。 

でも逆に、これ以上は入りません。メンテナンスにお金がかかりすぎるからです。

 

まとめ


たいへん長い説明にお付き合い、ありがとうございました。

お部屋探しを行う入居者の行動と心境はつぎのようになります。

 

1.理想の条件でいろいろ検索してみて、相場観を養う

2.理想と現実のギャップを痛いほど知る

3.でも、家賃は大きく変えられない

4.駅からの徒歩距離をのばしてみる

5.理想の駅をあきらめ、ひと駅ずつ遠ざかる

6.違う沿線も選択肢に

7.間取りを少し我慢する

8.欲しい設備も少しづつあきらめる

 

整理してみると、入居者はマンションを審査しているつもりですが、実は、入居者がマンションに絞りこまれているとも言えます。

これは、何万回も入居者のお部屋探しに付き合ったトップのセールスマンが分析した結果ですから間違いありません。

あなたが賃貸マンションを企画、広告するときは、ネットの特性を良く知って、逆算して、見つけてもらいやすいように仕込んでおくことです。

しかしこれはあくまで小手先のテクニックであって、本質ではありません。

入居者を愛し、実用上の便利さはもちろん、住む喜びを感じていただける住まいづくりをすること、これが本質です。

 

 

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