稼働率の真実

 

東京や大阪・京都では、「インバウンドが凄い!」「宿が取れない!」と大騒ぎだ。

しかし実態はどうだろう。

京都の五大イベントのひとつである祇園祭(7月16日)や五山の送り火(8月16日)のAirbnbには空室がいっぱいある。

だから宿泊料は値下がり、桜のシーズンの半値以下・・・

 

8月16日(五山の送り火)の京都の空き状況(8月6日に検索)
8月16日(五山の送り火)の京都の空き状況(8月6日に検索)

いったいどうなっているのか?

 

現状をしっかり把握せずに民泊経営をするのは、地図や天気予報をもたずに航海に出るのと同じだ。「後悔先に立たず」というだろう? ダハハハ・・・

 

今から私が京都を例にとって、宿泊施設の稼働率の真実をご説明しよう。

京都を例に取るのは、データから割り出した数値と、民泊経営者としての私の肌感覚が一致するか検証するためである。

 

この方法を使うと、どこの町でも情勢を掴めるので是非あなたもやってみて欲しい。

 

 

まず、京都市に宿泊した人数を知る


これは2016年に京都に宿泊した人数を示したものである。出所は京都市。

全体に占める外国人の人数は22.5%だが、外国人は平均2.29泊するのに対して日本人は1.30泊なので、延べ宿泊数では外国人が33.6%、日本人が66.4%となる。

 

あなたは、「なるほど、インバウンドは凄いなぁ~」で終わってはいけない。

「待てよ、外国人だけを相手にしていたら、3分の2のお客様を見送ることになる!」と気づいてほしいのだ。

つまり「Airbnbだけではダメ!」ということである。

 

 

グラフで見える化


上の表をグラフにするとこうなる。1つのデータから2つのグラフをつくった。

ただ、日本人と外国人を上下入れ替えただけ・・・・。

たったこれだけのことで見えてくるものがある。

大きな発見は「日本人が好む月と、外人が好む月が違う」という事実である。

たとえば外国人は4月が好き。桜には特別なものを感じるらしい。でも日本人観光客が多いのは5月。もちろんGWの影響は大きいが、それだけではなさそうだ。

 

そして外国人は7月に多くやってくるが、日本人が旅行するのは8月・・・などなど。

実は私も最初はAirbnb一本でやっていたが、GWに穴を開けて愕然としたことがある。日本人相手に募集していたらGWは高額なボーナスなったはずだ。

 

外国人と日本人の好みや行動が違うということは、とてもラッキーなことである。

もし一致していたら、完全に繁忙期と閑散期ができてしまい、機会損失が生じる。

チグハグでいてくれるから、頭を使えばどのシーズンも集客できる、というワケだ。

 

 

華々しいニュースには要注意


「京都市内の宿泊施設 稼働率が92%に!」

こんなニュースはよく目にするが、あなたは「凄いなぁ~」で終わってはいけない。

宿泊施設とはホテルなのか旅館なのか・・・簡易宿所(民泊)も含めるのか?

そこで、出典元のコンベンションヴューローを除いてみる。すると、

なるほど・・・主要ホテルだけの話か・・・そりゃー優秀な数字がでるわなぁ・・・

では、旅館はどうなんだろう?

そこでまたググる。出てきたでてきた、ちょっと古いデータだが参考になる。

ホテルの稼働率が89.9%なのに対して、旅館は70.1%である。

なるほど、やっぱり。

 

 

では、民泊の稼働率は?


京都市内のホテル、旅館、簡易宿所の定員(宿泊可能人数)がどれくらいあるのか調べてみよう。

ホテルの定員が3万9200人、旅館が1万8200人、そして簡易宿所が1万1800人である。

これは旅館業法にて登録されている数字なので信用できる。

しかし把握しきれないのは違法民泊の数である。現在AirBnbにて生きている部屋は4560件ある。そのうち約1000件が京都市の指導により登録したと考えると、3560件が未登録民泊である。

未登録民泊3650件の定員は平均3.85人であるから、13700人収容可能ということになる。

届出済の1万1800人と合計すると約2万5500人。

 

さて、いよいよクライマックスである。

冒頭の表より、2016年に京都に宿泊した人の総計が2172万人。

一日あたりにすると、5万9500人となる。

 

ホテルの定員が3万9000人、稼働率を90%なので、宿泊したのは3万5100人。

旅 館の定員は1万8000人、稼働率は70%なので、宿泊したのは1万2600人。

旅行者5万9500人のうち、すでに4万7700人はホテルか旅館を予約したというわけだ。

まだ宿泊先がきまらないのは、1万1800人。

 

これを簡易宿所の定員(合法+違法=2万5500人)で取り合うことになる。

稼働率はどうなるか?  46.3%だ。これは厳しい!

これだけ供給過剰になると、値下げ競争の泥仕合は避けられない。実際「宿泊料1000円まで値下げしたけど誰も泊まりに来ない・・・トホホ」とのボヤいているのを居酒屋で聞いたことがある。

 

しかしあなたは、「厳しい~っ!」で終わってはいけない。

ただざっと数字をナメただけであって、それぞれの民泊の立地・デザイン・装備・etc「宿泊施設としてのスペック」を考慮していないからだ。

人間は値段だけで選択する動物ではない。もちろん「安ければ良い」という人は多い。しかし「安ければ良いというものではない」と考える人も少数存在する。

 

 

結論


宿泊客はホテルや旅館を希望するが、満室で予約が取れないからしかたなく民泊で我慢するのだとしたら、上の数字通りになる。

わずかな残飯をもとめて民泊が奪い合う。それこそ熾烈な値下げ競争となり、「宿泊料1000円まで値下げしたけど誰も泊まりに来ない・・・トホホ」となるのは理の当然だ。

 

では、どうする?   解決策は?

 

【 繁盛策 A 】ホテルや旅館にはありえない魅力を備える

【 繁盛策 Z 】ホテルや旅館と充分渡り合えるデザイナーズホテルとする

 

このいずれかひとつ。あなたの性格や生活スタイルに合う方を選べばよい。

解決策Aの場合はAirbnbだけで充分である。

解決策Zの場合はAirbnbだけではダメで、Agodaと楽天トラベルの3本立てとする必要がある。

 

ちなみにAirbnbは草野球リーグ。ゴロを股下トンネルする野手がいるレベル。

Agodaや楽天はプロ野球。 プロに混じって戦い、生き抜くには、プロ顔負けの実力が必要となる。

たとえば、田中将大や大谷翔平が高校生だった頃のように・・・

 

最後に、ひとこと。

競争する手段が「値下げ」しかないと思っている人は、今すぐ撤退しよう。