それでもAirbnbが大黒柱

 

スマートプライスはまだ未熟


Airbnbには[スマートプライス]といって、「どれくらいの宿泊料をつけるのが妥当か」を知らせてくれるシステムがあります。

アルゴリズムはもちろん公表されていませんが、おそらく、その地域のその日の相場を割り出しているのではないかと思われます。

最初のうちは、魅力的なお部屋もボロアパートもまったく同じ扱いでしたが、2017年の夏あたりから[類似の施設]を見分ける術がやや向上しました。 とはいえ、まだまだ実用の域には達していません。

私もスマートプライスを半年ほど試用しましたが、はっきり言って使い物にならないというか、むしろ商売の邪魔になるので辞めました。

 

理由は2つあります。

ひとつはAirbnbが使用しているAIがバカで、物の良し悪しを判断できないからです。類似画像を集めるのがやっとで、値打ちまで判断するには程遠いレベルです。

その証拠に、私の所有する2つの部屋(AとB)はほとんど同じ内装で同じ装備ですが、スマートプライスは全く違う値段をつけるように指導してきます。1つは85$、もうひとつは60$を最低値段にしなさいと。

なぜそんなことが起こるのでしょうか?

デヴュー当時、どんな理由か知りませんが1部屋に偏って集客できてしまったことが原因ではないかと考えています。人気が出た部屋を上位表示するアルゴリズムになっていることは確かであり、好循環する部屋と悪循環する部屋ができてしまうのでしょう。

不憫なB室をこちらからフォローする手立てがないのがAirbnbの辛いところです。

 

もうひとつの問題は、スマートプライスがバカ正直であり相場をモロに繁栄してしまうことです。人間は一喜一憂する動物ですから、ちょっと好調ならメチャクチャ強気になり、ちょっとダメなら思いっきり弱気になります。

たとえば民泊の部屋数が100室あるとして、ゲストの数が110人なら「客はいくらでもいるぞ~」という気分になり相場は50%くらい跳ね上がります。逆にゲストの数が90人であれば、たった10人足りないだけなのに悲壮な気分になって相場は50%くらい下がります。(就活にもこの傾向があるので情けない限り)

これにモロに反応してしまうのが[2017年のスマートプライス]なのです。

「おい、人間よ、強気になりすぎだぞ」とか「そこまで弱気になることないよ」と一喜一憂しすぎる人間をカバーしてあげるのがAIの役目ではないでしょうか。この程度のアルゴリズム改善なら私でもできます。

 

 

定価を表示できないのも問題


相場が乱高下するもうひとつの原因は、Airbnbには宿泊料金の定価(基本価格)が表示できないことです。

たとえば「このホテルのツインのお部屋は定価15.000円です」としっかり表示していれば、相場はそこまで乱高下しないはずです。もちろんその15.000円という値付けを世間が認めていることが前提ですが・・・

では世間がどのようにしてその値付けを認めるかというと、あらゆるホテルの立地・デザイン・部屋の広さ、装備・サービスなどを総合評価してつけた順位と宿泊料の順位が一致しているかどうかです。試しに京都中のホテルの宿泊料を調べたところ、なるほとど納得のいく値段設定になっています。

これはなにも宿泊料に限ったことではなく、すべての物の値段はそのようにして決まります。その結果、たいていの人は「品質は値段なりのもの」という経験値を持つことになります。「安物買いの銭失い」という言葉にも納得がいきます。むかし「イイモン安いのがイズミヤ~」というコマーシャルソングがありましたが、そんなものは存在しないことは誰もが知っています。

たとえば、誰が見ても一泊6900円のビジネスホテルと違いが歴然としている15000円のホテルが、9800円で出ていたら「お得感」を感じるでしょう。なぜなら「15000円の品質の部屋に9800円で泊まれる」と判断するからです。

ところがAirbnbには定価表示がない。

9800円と表示されたら「品質は値段なりのもの」という経験則から「品質も9800円」と判断され、お得感は生まれません。

なぜなら9割の人はモノの良し悪しを判断できない人だからです。だから定価が必要なのです。

 

 

施設全体としてのPRができないもどかしさ


さきほどお話した不憫なB室のことですが、もし、施設全体をPRできるトップページが与えられていたら結果は大いに違ったと思います。

A室に予約が入った後にA室を希望するゲストが現れた場合、「ほとんど同じ部屋でB室なら空いてますよ」とお勧めできるからです。

また、「私のアパートメントはいろいろなタイプのお部屋をご用意しています。画像をたくさんご覧になってお好きな部屋をお選びくださいね」と、選ぶ楽しみも味わっていただけるわけです。

 

でも残念ながらAirbnbではそれができません。

 

 

Airbnbは単なる集客サイトではない


少し長くなりますが、AirbnbのCEO、Brian Chesky氏のお話をお聞きください。

Airbnb CEO Brian Chesky
Airbnb CEO Brian Chesky

私達の信念は人々が世界をより身近に感じられるように、世界中の人々を繋げていくことです。どこに行っても温かく迎えられるような感じを人々に感じてもらいたい。

私達のミッションは世界のどこへ行ってもその場所があたかも自分のホームグランドのように馴染めるようにすること。

 

5年後、20年後の私達が部屋の提供をまだ続けているかはわかりません。

しかし、何年経っても、人々を繋げていく、温かい人の輪を世界中で広げていくという私達のミッションが変わることはありません。

 

もちろん「世界を旅行する際に宿泊する家や部屋を検索し予約するサービス」も行っていますが、それは切り口のひとつであって、私たちはすでに別のこと「体験」に力を入れています。

 

たとえば、埼玉で盆栽師から日本の美について学ぶ。築地市場でプロと一緒に魚を買い付け、さばいて、料理を楽しむ。東京の自転車店主からお勧めの最新自転車ショップや熱いサイクリストが集まる穴場を教えてもらう——。

「これはツアーではなく、地元コミュニティにひたり、一員となるのです」

 

 日本の貧困問題を学ぶ東京の社会貢献体験
日本の貧困問題を学ぶ東京の社会貢献体験

 

また、「体験」の1割は、非営利団体や慈善団体による「社会貢献体験」になっています。貧困、動物保護、同性婚、農業などをテーマに、地域の活動家たちから学びます。

Airbnbが提案する『体験』を通じた旅先の交流は、ミレニアル世代を中心とした若者の需要にぴったりだ。現代の旅行者たちは観光バスでは行けない、ユニークな体験を求めているのです。

 

 

逸話の独り歩き


「サンフランシスコ在住の2人のデザイナーは貧乏で家賃の支払いにも困っていた。

2007年、サンフランシスコでデザイン見本市が開催され、ホテルは満室となり溢れて困っている人がでた。そこで彼らはアパートにエアーマットレスとブレックファーストを準備した泊めた」これがAirbnbの起源とされている。

 

この逸話が独り歩きし、ベッドさえ用意すれば簡単に稼げるという認識が広まった。

ところが実際はAirbnbの反映までには多くの努力と時間を必要としている。

 

革命的な発案であったAirbnbでさえ、最初の2年間は鳴かず飛ばずだった。理由のひとつは、当初「Airbnbで宿泊費を節約!」と打ち出していたからである。ある時点で、これでは可能性を自ら狭めているようなものだと気付き「人間らしい旅行を」に変更。「皆と同じパッケージ旅行をする必要はない」というメッセージである。

 

2013年からは、ホストによる「おもてなし」の質向上に力を入れる。

コピーは「世界192カ国でホームステイができる」

この言葉にときめいた人にとって、Airbnbは夢のようなサービスに感じられるだろう。

 

 

それでもAirbnbが大黒柱


しつこいようですが、もういちど言わせてください。

 

人がわざわざAirbnbを利用する理由は、その土地ならでは、その人ならではの体験ができるから。たとえば観光地図には載っていない地元の路地裏を案内してもらったり、知る人ぞ知るラーメン屋に連れて行ってもらったりできるからです。

 

ここにこそ、私たち庶民の民泊が生きていける道があるのです。

ホテルに泊まっては得られない体験を提供する。冒険心旺盛なゲストは、ビギナー向けの観光マップや無責任な食べログに碧々しているのです。

 

ホストは自分の住んでいる地域をよく知ると同時に、ゲストの趣味について理解しておかなくてはなりません。実際、私もいろいろなネタを用意していますがが、ゲストによって受けがぜんぜん違います。

オオウケしたときは、思わずガッツポーズがでます。

 

 

ようやく、スーパーホストに光が


一生懸命ホストして、やっと得た[スーパーホスト]。 でもこれって、意味あんの?

と呟いていたところ、2017年9月下旬から[スーパーホスト]枠がページトップに設置されました。膨大な人からの呟きはAirbnbに届くのでしょう。

 

 

つづいて[キャンペーン]も試作されるようになりました。

最近伸び悩んでいるAirbnbが巻き返しを図ったのでしょう。ちょっと遅めだけど・・・